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韓国の歴史

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2011年1月

2011年1月25日 (火)

「北韓」

☆ 鄭銀淑(정은숙 チョン・ウンスク)

鄭銀淑は,以前に『印象に残る言葉④ http://paiksooyum.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-af54.html』でも取り上げた。重複を厭わず簡単に触れると,日本への留学経験があるためか,韓国人には珍しい柔軟な思考法の持ち主だと思っている。先入観や既成概念から離れて,自分の判断力だけを信じて書き進める。勿論,日本人読者を意識して手加減する所もあるが,信念を曲げてまで迎合することはない。女性らしさを売り物にしない点も痛快である。そういうわけで大半は読んでいたが,2冊だけ敬遠していたものがある。所謂「北朝鮮もの」は読んでも面白くないという判断からだ。

『一気に分かる朝鮮半島 日本・韓国・北朝鮮の近現代関係史』(2004年,池田書店)
『日本が知らない北朝鮮の素顔 韓国の目線で考える朝鮮半島と南北統一』(2003年,ふたばらいふ新書)
古本を注文するついでに,それほど期待せずにこの2冊を買って読むことにした。『一気に分かる…』は誰が書いても個性が出ない内容だから,コメントは何もない。『…北朝鮮の素顔』は,日本人が書いたものとは一味違っていて,考える材料を提供してくれる点が予想を上回った。

☆ 『日本が知らない北朝鮮の素顔』 

各章のタイトルは次の通り。
第1章 脱北者の視線
第2章 南北統一の練習問題
第3章 南北分断と負の遺産
第4章 北朝鮮の社会構造
第5章 北朝鮮の生活感

脱北者・訪朝した韓国人公務員・延辺朝鮮族自治州の旅行会社の社員などへのインタビュー,脱北者の韓国での生活と北朝鮮での暮らしぶり,韓国人の統一観,開成工業団地の開発と金剛山観光事業,などがのぞき見的でなく取り上げられている。従って,当然日本では売れなかっただろうと推測できる。なぜなら日本では,北朝鮮に関して実像を知りたいわけではなく,まして韓国人が北朝鮮をどのように見ているかには全く興味のない人が大部分だろうと思われるから。

この本で鄭銀淑が最も強調したかった執筆の動機は,次の部分であろう。
--韓国人が北朝鮮の人々のことを思うとき,同胞としての連帯感,政治によって引き離されたという感傷はもちろんあるものの,懐疑心,憐れみ,そして恐怖など,さまざまな感情が交錯するのもまた事実なのだ。
--それは,拉致問題,核開発疑惑,テロなどのマイナスイメージから,北朝鮮を単純な憎悪の対象として位置づけてしまいがちな日本人とは,大きくちがうのである。
しかし,この鄭銀淑の思いはほとんど日本人には届かない。嗚呼。

我々が口を挟むことではないが,韓国人は同じ民族であるという点に寄りかかりすぎのように見える。また本書にそこまで望むのは酷なのを承知で書けば,それぞれの側が朝鮮戦争(6.25)をどう捉えているかについても,まだまだ疑問が解消されるというには程遠い。

☆ チョコパイ(초코파이)

いくつか興味深かった部分を紹介しておこう。
映画『JSA(공동경비구역=共同警備区域)』で,北朝鮮の兵士役のソン・ガンホ(송강호)の有名なセリフ「オレの夢はな,将来これよりもっと美味いチョコパイをつくることなんだ(내 꿈은 말이야 우리 공화국이 이보다 더 맛있는 초코파이를 만드는 거야.)。それまではこの南側のチョコパイを食ってがまんする」。
或る脱北者がこの映画を観たときの感想は,「あのソン・ガンホのセリフにはとても共感できた。私がもし彼のような立場だったら,同じようなことを言うだろう」。

また,北朝鮮における犬肉料理の現状もなかなか面白い。さらに,キム・ジョンイルのお気に入りの韓国歌謡が,チェ・ジンヒ/ジニ(최진희=崔辰熙)の「愛の迷路(사랑의 미로)」という話も出てきて,堅苦しい内容ばかりではない。しかし,表紙に見られる--犬料理を「民族の味」と堂々アピール。--というような嫌味な嘲笑・日本人読者への迎合などは,鄭銀淑の意図を完全に裏切っている。出版社は著者と打ち合わせもしないのだろうか。犬肉を食べる=野蛮・貧困という図式は,民族の文化を理解しようとしない無知以外のなにものでもない。

※ この本が出版されたのは2003年だから,その後の2つの大きな事件で韓国人の意識が変化したかもしれない。
天安艦沈没(천안함 침몰)…2010年3月26日,韓国海軍の哨戒艦・天安がペンニョン島(백령도=白翎島)近辺で沈没。40名死亡・行方不明6名。韓国側の合同調査団は北朝鮮の魚雷攻撃によると発表。
延坪島砲撃(연평도 포격)…2010年11月23日,韓国の大延坪島に北朝鮮が170発余りの砲撃,韓国は80余発を応射。韓国海兵隊員2名と民間人2名死亡。北朝鮮側の被害不明。

☆ 「北韓」

韓国では朝鮮民主主義人民共和国を「北韓(북한 プッカン)」と呼ぶのに対して,北朝鮮では大韓民国を「南朝鮮(남조선 ナムジョソン)」と呼ぶ。そして日本ではというと「北朝鮮」だ(「北鮮」と表記したがる人間は「南鮮」「鮮人」も使いたがり,挙句に「鮮」の字には差別感はないと開き直る)。
今回のブログのタイトルを敢えて「北韓」にしたのは,あくまで韓国人の観点から書かれているということと,「北朝鮮」という表記にも何かしっくり来ないものを感じるから。とはいっても「共和国」も妥当とは思えないから,現状ではこの「北朝鮮」をしぶしぶ使うしかないのだろう。

2011年1月17日 (月)

ようこそ2011

☆ 自己陶酔型「親韓派」と「嫌韓派」

韓国人の言い分をそっくりそのまま受け入れることを「親韓」と考えている日本人がいる。そのような日本人の行動は実際に次のような現れ方をする。例えば個人でもチームでも,日本vs.韓国戦があると韓国を応援し,韓国側が勝利すれば心底喜び,韓国人とその喜びを分かち合えたと錯覚する。麗しい友情の積もりなんだろうけれど,このとき韓国人が優越感に浸っていたり,腹の中で舌を出している場面を想像したりするとまるでマンガだ。このような魂を売り渡した似非「親韓派」を見て感じるのは 한심(寒心)하다 以外の何ものでもない。

スポーツにはそこそこの関心は持つが,どちらか一方を応援するためにTVを見るということはない(そもそもTVそのものをあまり見ない)。まして熱くなったりはしない。どちらが勝とうと「あっしには関わりねえこと」に過ぎない。

これとは逆に,受け売りの情報だけで「嫌韓」に酔いしれている日本人。自分の目で韓国の新聞を読んだり,テレビを見たり,インターネットで色々調べたりして,ようやく少しは実像が浮かび上がる。しかしそれも,現実の韓国人と付き合って得られる印象とは大きく異なることがしばしばだ。そういうプロセスすら端折って,尻馬に乗る「嫌韓派」なんて安易なものだ。自民党や米国という強力なバックが付いているという安心感から横着になっているのだろう。

そういう意味で,一見対極的に見える「親韓派」も「嫌韓派」も,自己陶酔に過ぎない点では同じ穴の狢だ。そんな単純なものではないあり得ないだろう。朝鮮・韓国は簡単に理解できたと考えると,大きな落としが待ち構えているというのが実感だ。

☆ 世界終末時計

人類の滅亡までの残り時間を示す「世界終末時計」なるものがある。この発想と類似したもので,嫌韓派になる何歩手前かを表示できる時計を考えてみるのも面白いだろうと思う。今はまだまだかなり手前で,しかもゼロになることはないと予想している。

韓国は知れば知るほど異質だという印象が強まるが,そこに魅力を感じるというのではない。嫌韓派にならないだろうという予想の根拠は,政治・文化・宗教などの面でその異質性に今のところ関心は持ち続けているから。しかしこれから先,もっと韓国の本音がはっきり分かればどう転ぶかは分からない。ただいえることは,今まで以上に「韓国」と「韓国人」とをはっきり区別して行かなければという当たり前の事実だ。

こういうスタンスで朝鮮・韓国に関わっていくブログだから,年が変わったからといって大きくは変わらないだろう。

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