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韓国の歴史

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2008年8月

2008年8月25日 (月)

やっと終った!

☆ オリンピック

大嫌いなオリンピックがやっと終った。国威の発揚とかつまらないエピソードの狂騒が何とも性に合わないし,開催地も大いに問題がある国だった。オリンピック一色のテレビも新聞も見る気がしなかった。
そのあおりで,お盆のこの時期ならテレビで何本かは映画が見れるかと思っていたが,何もなかった。

☆ 「ファースト・キス」と「夏の香り」

辛うじて見たのが,井上真央の「ファースト・キス」の再放送だった。日本の連続ドラマをまともに見るのは,恐らく初めてだ。

シチュエーションの設定がソン・イェジン(손예진 孫藝珍)の--女性なら,ソン・スンホン(송승헌 宋承憲)のと言いたいだろうけれど--「夏の香り(여름향기)」と共通するところがある。

どちらも,生まれつき心臓に難病を抱えたヒロインという設定だが,「夏の香り」では心臓移植を受けたことになっている。「ファースト・キス」では,手術に高度なテクニックが要求されるため,執刀できる医師が日本にはいなくて,ロスで手術を受ける予定になっている。

こういうときに,日本のドラマでは医学の専門用語を交えて,成功の確率が50%しかないほどのいかに難しい手術であるかを視聴者に納得させようとする。それに対して韓国ドラマでは,心臓移植を受けた後,ドナーの性格と似てくるとか,相当乱暴に話は展開して行き,結局移植の再手術も受けることになる。
韓国ドラマの荒唐無稽さについては,『韓流ドラマ、ツッコミまくり』が面白い。「夏の香り」もそれにひけをとらないが,ここでいちいち取り上げると本題からはずれてしまう。

たとえドラマであってもなんとかリアリティーを持たせようとして,些細なことにこだわる気の小さい日本人⇔所詮ドラマなんだから少々辻褄があわなくても面白ければいいじゃないかと考える心の広い韓国人,或いは日本人の生真面目さ・緻密さ⇔韓国人のアバウトさ・だらしなさ,という図式はもっともらしいが,何とでもいえるから大して意味はない。
それよりも偶然とはいえ,「兄」をキーワードとして見ていると,色々考えさせられる。

☆ オッパ(오빠)文化

韓国では,妹に対する兄をオッパと表現するが,女性が恋人を呼ぶときもこのオッパを使う。韓国映画やドラマの字幕では,「お兄ちゃん」では変だから,彼氏の名前で「○○さん」と訳されている。「ファースト・キス」では,実の兄妹だから当然「お兄ちゃん」と呼ぶし,「夏の香り」では婚約者を「オッパ」と呼んでいる。一見類似するが,文化的背景は隔たっている。

以前見たドラマで,新婚旅行で「オッパ」と言いかけて,あわてて「ヨボ(여보)」と言い直すが,まだ馴染めなくて自分でも照れくさがるシーンが印象に残っている。

この「オッパ文化」を歴史・心理学・社会学等から広く論じたものがあれば,読んで見たいものだ。フェミニストの意見も聞いてみたい。

☆ 勝手連

『韓国のなかのトンデモ日本人』という本が出版されている。それほど売れる本とは思えないが,韓国人の本音を捕まえているところが面白いので,勝手に宣伝してみよう。著者の一人である野平俊水(=水野俊平)は『韓国人の日本偽史』で韓国を批判したとして,ネチズン(ネット市民)の抗議メールが勤務先の大学に殺到し,大学を首(雇用契約延長拒否)になった経緯がある。

この本によれば,韓国人男性から見た日本人女性の特徴は,
1.ブス
2.愛嬌がある
3.淫乱
4.貞淑で,男の言うことをよく聞く
1と2を合わせて,「日本人女性は美人じゃないが,愛嬌があってかわいい」ということで,3と4は「日本人女性は結婚するまでは乱れているが,一度連れ添ったら従順で,貞淑で,よく尽くしてくれる」ということらしい。

『チェクポルレ②』で取り上げた朴倧玄のアカデミックさを装っているわりには,中身が何もないようなものより,韓国人の本音が分かって面白い。

韓国・韓国人を知れば知るほどいろいろな面が見えてきて,当分飽きないだろう。

2008年8月13日 (水)

チェクポルレ② 新書2冊プラスワン

☆ 新書2冊

少し前に,いずれも日本に十数年滞在している韓国人が書いた新書を2冊読んだ。滞在しているといっても観光ではないが,そうかといって本人が日本に永住すると考えているわけではなさそうなので,定住とはいいがたい。

一方は日本文化に理解を示し,韓国に対して批判的な視点も持つようになっているが,もう一方は韓国文化にどっぷり浸ってそこから抜け出そうとはしていない点で,韓国的といえば極めて韓国的で,対照的な2冊といえる。

☆ ヤン・テフン『僕は在日「新」一世』(平凡社新書)

著者ヤン・テフン(양태훈=梁泰勳)は,韓国のテレビ局と契約し,日本における取材・撮影の通訳・コーディネーターの仕事をしているニューカマーであるらしい。この本は,インタビューに答えるという形で日本語で語ったものをまとめたようだ。

韓国の学校生活や軍隊生活が,教育制度とか徴兵制といった大上段に振りかぶったものではなく,普通の人の視点で語られているのがいい。ベトナム戦争への韓国軍の派兵や,軍隊内でのいじめや自殺・事故死などにも触れていて,意外と語られていない話題を取り上げている。ただし,「犬死に」をケジュとグンに分けているのはいただけない。ケ(개 犬)+ジュグム(죽음 死ぬこと)だろう。

一代でのし上がった創業者の無能な息子が,仕事もほとんどせずに三角関係や四角関係にのめり込んでいる姿が韓国ドラマでしばしば見られる。それを韓国人の典型的な像と誤解する日本人は多くはいないだろうと思うが,この本は等身大の韓国人を素直にさらけ出している点に好感が持てる。

しかし,最後にこの本の「構成者」と紹介されている林信吾なる人物との対談で締めくくられているが,何でこんなものがしゃしゃり出てくるんだ? ページ数が埋まらなくて付け足しただけじゃないかと勘繰りたくなる。いいたい事があれば,韓国人をダシにせずに,自前の本を書け。といってもそんな本は金を出して買わないだろうけれど。

☆ 朴倧玄『韓国人を愛せますか?』(講談社+α新書)

パク・チョンヒョン(박종현 朴倧玄)が,発想・行動様式・生活習慣など日本と韓国の文化の違いを,さまざまな実例も挙げて,分析も加えている本である。「日本人に韓国の文化を理解させる使命」があるという著者の信念に従って書かれた本のようだ。

しかし,紹介されている内容にこれといって目新しさはないし,分析に深さもない。ただ,全面的な自己肯定すなわち韓国・韓国人の自慢話を延々と聞かされている感じしか持てない。

そもそも,「韓流」から韓国・韓国人に接近して,その後それを卒業(?)してより本格的に韓国文化を知りたいと考えるようになった日本人を読者として想定しているのだろうか? そうだとして,この本から得た知識で,「韓国人って~なんだ!」と思うほど日本人の知的水準は低いのだろうか?

韓国の文化や人間を知りたければ,韓国で或いは日本で韓国人と直に接して自分の肌で納得すればすむ問題だ。もちろん限られた範囲の人間としか知り合えないし,そこから韓国人一般がああだとかこうだとか結論を出す必要は全くない。気の合う人間もいれば,二度としゃべりたくない人間もいる。

著者が初めて日本に来たときに出会った親切な日本人のエピソードの紹介も,単にわざとらしく感じられるだけだし,あとがきで,「この本が,日本人読者にとってうまく韓国人と付き合うためのバイブルとして役に立てれば幸いに思う。」に至っては,呆れて言葉がない。編集者がおだてでもしたのだろうか。或いは本人が本気でそう信じ込んでいるのだろうか。まあ,これが韓国人だと理解するだけの値打ちはある。

著者に一言「日本人を愛せますか?」と聞いてみたいものだ。

☆ チョ・ヤンウク(조양욱 曺良旭)『일본 키워드 99(99 Japanese Key Words)』(다락원)

この本は,日本を理解するうえでのキーワードとなる99の項目を取り上げている。その切り口が斬新であるため,日本文化に対する辛辣さにはむしろ爽快さがある。ごく一部を日本人のライターが担当しているが,その単調さというか退屈さが逆に著者の面白さの証明になっている。全く(骨の髄までと表現したくなるほど)親日的ではないが,韓国人から見た日本文化という観点からすれば,それはこの本を評価するうえで当然妨げにはならない。

三者三様の韓国人の日本観を参考に,われわれ日本人が韓国観を構築すればよいし,強迫観念のように無理して「韓国人を愛」することもない。

2008年8月 3日 (日)

チェクポルレ①-Ⅱ 内山愚童

☆ 兵役拒否

パク・ノジャは,反米・反独裁・反差別・反戦・非暴力を基調としているが,良心的兵役拒否の文脈で内山愚童に言及している。良心的兵役拒否といえば,すぐにワッチタワー(ものみの塔)日本支部の灯台社を開いた明石順三を思い浮かべる。明石順三は1939年治安維持法で逮捕され,懲役12年の判決を受けるが,その直前には息子の明石真人と村本一生が良心的兵役拒否に対して軍法会議で懲役刑を言い渡されている。なお,順三の妻静榮は手当てらしい手当てを受けないまま獄死。

そのような宗教者の兵役拒否の源流として,曹洞宗の僧侶である内山愚童の反戦思想が取り上げられたものと思われる。ここで,内山愚童が連座して死刑に処された大逆事件の流れを簡単に見ておこう。

☆ 暗殺主義

1907(明治40)年11月に米国サンフランシスコの日本領事館に無政府暗殺党の「暗殺主義」と題するアジビラが貼り出された。その内容の一部は,次の通りである。

・・・睦仁君足下,あわれなる睦仁君足下,足下の命や旦夕にせまれり。爆裂弾は足下の周囲にありて,まさに破裂せんとしつつあり,さらば足下よ。

この内容に危機感を募らせた山縣有朋を黒幕とする政府は,根拠なしに幸徳秋水を首謀者と決め付け,社会主義者・無政府主義者の弾圧に乗り出す。

☆ 大逆事件

1908(明治41)年の赤旗事件で有罪判決を受けた大杉栄らの入獄記念に,内山愚童は『無政府共産』というパンフレットを秘密出版する。そしてこのパンフに触発されて,宮下太吉が爆裂弾を製造し,管野スガらと謀議したとして逮捕される(明科事件)。これを突破口として,文字通り網を広げに広げて幸徳秋水らの一網打尽を謀る。

旧刑法第2編第1章皇室ニ対スル罪
第73条
 天皇,太皇太后,皇太后,皇后,皇太子又ハ皇太孫ニ対シテ危害ヲ加ヘ又ハ加ヘントシタル者ハ死刑ニ処ス

26名を起訴して,1910(明治43)年12月10日公判開始,12月15日に24名に死刑求刑,翌年1月18日に24名全員に死刑,2名に有期懲役判決,翌19日に12名は「陛下の思召しにより」無期懲役に減刑。

1月24日11名死刑執行・・・幸徳秋水(伝次郎),森近運兵,宮下太吉,新村忠雄,古川力作,奥宮健之,大石誠之助,成石平四郎,松尾卯一太,新見卯一郎,内山愚童
1月25日1名死刑執行・・・・管野スガ(すが)

その後,1923年の大杉栄・伊藤野枝らの虐殺を併せて考えるとき,「押し付け憲法」「棚ぼた民主主義」をじっくり考える必要はあるし,韓国の民主化運動が日本よりはるかに遅れているという不遜な捉え方はできないだろう。

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